役員報酬の
試算方法

役員報酬額に応じて決まる支出

役員報酬の金額に応じて決まる代表的な支出は、所得税と住民税、社会保険料です。役員報酬を高くすれば、これらの支出は高くなります。しかし、役員報酬を高くすれば会社の利益は低くなるので法人税は下がります。

そこで役員報酬額に応じて決まる支出の総額を試算するには、法人税、所得税、住民税、社会保険料の計算が必要になります。以下では、上記4つの試算手順をご紹介します。

支出額の試算順序

法人税、所得税、住民税、社会保険料を試算するためには、役員報酬と会社の利益に分配できる金額を見積もるところから始めます。これは決算損益計算書の、税引き前利益に、役員報酬額と、役員に対する社会保険料を加算した額を目安にして、事業成長などを見込んで予測します。事業成長の予測が現状維持であれば、税引き前利益+役員報酬+役員に対する社会保険料となります。

次に役員報酬の金額を仮定します。役員報酬額を仮定することで、社会保険料が計算できます。役員報酬の金額と社会保険料が計算できれば、会社の税引き前純利益が計算でき、法人税額を計算できます。また役員報酬の金額を仮定して社会保険料を計算することで、所得税と住民税を計算することができます。

実際に役員報酬を決めるための参考資料とするためには、役員報酬額の仮定を何度も繰り返して、役員報酬をいくらに設定すれば試算した支出の合計額がいくらになるのかを整理しなければなりません。法人税、所得税、住民税、社会保険料の試算順序をまとめると図のようになります。

役員報酬に応じた支出の試算順序

各種税額、社会保険料の算出

試算の順序がわかれば次は個別の計算の方法です。

社会保険料の計算

社会保険料は都道府県により異なりますが、基本的な計算方法は同じです。ただし、計算するよりも毎月の役員報酬額に応じた社会保険料を協会けんぽの保険料額表から探す方がわかりやすいのでおすすめです。協会けんぽ以外の組合などに加入されている場合はそちらの保険料計算に従ってください。

法人税の計算

法人税は細かく見ると、法人税、地方法人税、法人都道府県民税、法人市区町村民税、事業税、地方法人特別税に分かれます。こちらも正確に計算するのは少し難しいですが、実効税率を使って簡易的に概算することもできます。簡易的に概算する場合は、法人の利益に対して以下の割合が税金になります。

これらの税率が適用できる条件は多少複雑ですが、一般的な中小企業であればたいていは該当する条件です。正確な条件を知りたい場合には、JETROのサイトが分かりやすくまとめてくれています。

所得税、住民税の計算

所得税は給与所得に該当するため、給与所得控除と所得税の計算の2段階の計算になります。住民税は都道府県市区町村により税額が多少異なりますが基本的には所得の10%です。正確に計算する場合には、所得税は給与所得控除(国税庁)所得税(国税庁)、住民税は都道府県や市区町村のサイトを参照してください。給与所得控除後に、所得税、住民税それぞれ異なる額の所得控除も適用がありますのでお忘れなく。

所得税と住民税の概算であれば、給与所得=役員報酬×A−B、所得税=給与所得×C−D、住民税=給与所得×10%です。なお、A、B、C、Dは以下の通りです。

役員報酬AB
~65万円00
~180万円60%0
~360万円70%18万円
~660万円80%54万円
~1,000万円90%120万円
~1,500万円95%170万円
1,500万円~100%245万円
給与所得CD
~195万円50
~330万円10%9.75万円
~695万円20%42.75万円
~900万円23%63.6万円
~1,800万円33%153.6万円
~4,000万円40%279.6万円
4,000万円~45%479.6万円